ハイブリッドワークを成功に導く人材の共通点

中堅レベルの理解力が不可欠?ハイブリッドワークを成功に導く人材の共通点

リモートワークが定着しつつある今、企業が次に注目しているのが「ハイブリッドワーク」という働き方です。一部を出社、一部を在宅勤務とするこのスタイルは、一見“ちょうどよいバランス”のように思えますが、実際の運用には高い自己管理能力と業務理解が求められます。


特に“中堅レベル”の経験や判断力がなければ、ハイブリッドワークは本来の効果を発揮しません。今回は、そもそもハイブリッドワークとは何かからはじまり、そのメリットと運用上の課題、さらに「中堅レベル」の社員がなぜ重要視されるのかを掘り下げます。

そもそも「ハイブリッドワーク」とは?

**ハイブリッドワーク(Hybrid Work)**とは、「リモートワーク」と「オフィスワーク」を組み合わせた勤務形態のことです。たとえば、週に3日は出社し、残り2日は在宅勤務をする、というような働き方が典型です。

完全リモートと比べて社員同士のリアルなコミュニケーションが維持できる一方で、フル出社と比べて通勤ストレスや柔軟性の面で優れています。

企業がハイブリッドワークを導入する主な理由

  • 生産性と働きやすさの両立
  • 離職率の低下や採用競争力の向上
  • オフィスコストの最適化

こうした目的のもと、特に大手企業や外資系企業を中心に導入が加速しています。

一見“いいとこ取り”のように見えるが…現実はそう甘くない

ところが、ハイブリッドワークは「良いところを組み合わせただけ」の理想的な働き方…とは限りません。際に導入してみると、多くの企業が以下のような課題に直面しています。

  • 情報共有の偏り(出社組 vs リモート組)
  • 指示・相談のタイムラグ
  • 社員ごとの働き方の温度差
  • 「なんとなく出社」「なんとなくリモート」による非効率

特に、指示待ち型の社員や、自律的に業務を組み立てる習慣のない若手社員にとっては、「どこで何をしていいかわからない」状態になりがちです。その結果、出社・リモートの両方の良さを活かしきれず、“中途半端な働き方”になるリスクも。

ハイブリッドワークに必要なのは「中堅レベル」の判断力と経験値

こうした状況の中で、最も安定して成果を出しているのが、いわゆる中堅レベルの社員たちです。

「中堅レベル」とは?

  • 業務の全体像が把握できている
  • 自分のタスクを自分で管理できる
  • チーム内外の関係者と適切に連携できる
  • 指示がなくても「次にやるべきこと」がわかる
  • 組織の方針や空気感を理解し、動ける

ハイブリッドワークでは「今、誰がどこで何をしているのか」が見えづらいため、自律性と判断力を兼ね備えた中堅層が組織の中心的存在になります。

なぜ若手や未経験者では難しいのか?

若手や新卒、あるいはまだ仕事の流れを完全に理解していない社員の場合、どうしても以下の傾向があります。

  • 仕事の優先順位が立てられない
  • フィードバックを受ける機会が減る
  • ミスや遅れに気づきにくい
  • 孤立感を覚えやすい

その結果、リモート日には生産性が下がったり、報連相が遅れたりといった問題が起きやすくなります。

一方、中堅レベルの社員であれば、必要な情報は自分から取りに行き、必要なタイミングで相談ができる
このような自走力こそが、ハイブリッドワークの鍵なのです。

「中堅社員×ハイブリッドワーク」こそ最強の組み合わせ

事実、多くの企業が「中堅層の存在」にハイブリッド制度の成否がかかっていると認識しています。たとえば、**日本経済新聞社の調査(2023年)**では、ハイブリッドワークを成功させている企業の共通点として、

「中堅社員がハブとなり、組織全体の業務設計や情報伝達を支えている」

という結果が出ています。

このように、中堅レベルの人材は単なる“働き手”ではなく、組織運営のコアとして機能しています。
現場の温度感を読みながら、リモートでも出社でも安定してパフォーマンスを発揮できる社員は、今やどの企業でも「引く手あまた」の存在です。

ハイブリッドワークができる人=本当に優秀な人

繰り返しますが、ハイブリッドワークは高いスキルと信頼の証でもあります。ただの制度として導入されるものではなく、実行できる人の資質に大きく左右される働き方です。

そして、その実行力の中心にいるのが、中堅レベルの経験とバランス感覚を持った人材です。

  • 自主的に仕事を動かす
  • チームを巻き込みながら成果を出す
  • 離れていても空気を読み、行動できる

これらを自然にこなすことができるのは、“ベテラン未満・若手以上”の中堅層しかいません。

ハイブリッドワークを任せられるのは、中堅レベルの“信頼される人材”だけ

ハイブリッドワークは、ただの「働き方改革」ではありません。それは、社員一人ひとりの“仕事への理解度”と“自律性”が問われる、いわば信頼のマネジメントスタイルです。

この働き方を成功させられる人材は、企業から見ても貴重であり、その多くは中堅レベルの知識・判断・実行力を持つプロフェッショナルたちです。

「ハイブリッドで成果を出している」と言われたら、それは環境ではなく“その人が優秀だからできている”ということ。そう簡単にできるものではありません。

今後もハイブリッドワークの導入が進む中で、対応できる中堅社員の価値はさらに高まり続けるでしょう。
もしあなたのチームに、そんな人がいるなら――それは、企業にとって最大の資産かもしれません。

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